KOHYEI PROJECT STORY
#05
産業機器事業部 機能材料部 第1課 兼 営業開発推進部 兼任チーム
友枝 凌太郎
KOHYEI PROJECT STORY #05
硬さと柔らかさを併せ持つ、まだ世の中にない車止めを、熱収縮チューブを使って開発すること。課せられたミッションに迫る。
街中や駐車場に立っている車止めのポールってありますよね。柔軟性があり曲がるものもあれば、金属でできた強固なものもあります。金属の鋼管をベースにして、硬くてもクッション性を持つ車止めが開発できないか、というご相談をお客様から受けたのがきっかけです。以前にそのお客様には、当社が代理店として扱っている熱収縮チューブ(=熱を当てると縮む素材。例えば、100φのチューブが熱を当てると50φまで縮む)をPRしたことがあり、今回の開発商品にその熱収縮チューブを使えないか、というところから始まりました。
近年、高齢者の方などがコンビニの駐車場などで、ブレーキとアクセルを踏み間違えて誤発進し、店に突っ込んでしまう事故が増えている中で、柔らかいポールよりも、車や自転車をしっかり止められる強固なポールが求められているというのが最近のトレンドとしてあるようです。ただ、従来の金属製の硬いポールではなくて、折れ曲がらずに車などは止められるけれども、ある程度の柔らかさを持ったクッション性のある物ができないかというのが、お客様の求めるところでした。
まず収縮チューブだけで試作をしたところ、「ちょっとこれだけでは要求した特性が出せないかな」と評価を頂いたので、何か策がないかと色々と考えた結果、収縮チューブ単体でなく、収縮チューブと鋼管の間にスポンジのようなカバーを挟み、二層構造にできないかというアイデアが生まれました。
すぐにそのスポンジのサンプルを取り寄せて、グループ会社で試作ができたので、そのサンプルをお客様のところにお送りしたところ「これは結構いいね」というお言葉をいただき、二層構造を軸に開発が進んでいきました。スポンジだけでは雨風や紫外線ですぐにダメになってしまう、収縮チューブだけではクッション性を生み出せない。二層構造にすることで新しい質感と機能が生まれました。
弘栄貿易には熱収縮チューブの加工を専門に行うグループ会社があり、試作はそこで行いました。即座にできる環境は整っていました。
特に加工品の試作の段取りは時間がかかるケースが多いのですが、グループ会社なのでお互いの意思決定も早く、私自身も現場で試作に立ち会うことが出来ました。ディスカッションをして、そのアイデアをすぐに現場で形にしていく、そのスピード感があったのが良かった点だと思います。
グループシナジーを発揮することができた点です。また、今回は他事業部のお客様へ自部署の商材を紹介する「クロスセル」の動きの中で生まれた案件でした。
縦割りではなく、他事業部のネットワークも活かしながら枠に囚われずに営業できる、弘栄貿易だからこそ実現できたと感じています。
商社としての立場で一からモノづくりをしていくことに携われたことは良い経験になりました。出来上がった「車止め」が街中に並ぶことを楽しみにしています。
産業機器事業部 機能材料部 第1課 兼 営業開発推進部 兼任チーム:友枝 凌太郎
2020年入社、成形品を扱う機能材料部の5年目。若手というよりは中堅という立場になってきたので気が抜けない日々。